華 瓶
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四季折々の花、草花などを、とり混ぜてさします。花はなんでもよいのですが、棘のある花やつるに咲く花、または造花などは用いません。
敬いの心が、素直に表われるのは花です。うれしい時も、悲しい時も花を捧げます。結婚式の時は、いつまでもお幸せにと、敬いの心で花を捧げます。お葬式の時も、長い間ご苦労さまでしたと、花を捧げて敬いの心を表わします。お客様を招く場合にも、花を飾って敬いの心を表わします。花の美しさが敬いの心を、端的に表わすからです。
阿弥陀さまに花を捧げて、手を合わせる時の満ち足りた豊かさは、どんなものの豊かさにも、比べることのできないものが感ぜられます。拝むものを持たない人間ほど、恐ろしいものはないと思うのです。何をしでかすか、わからないというものがあります。拝むものをもつものには、自らそこに照らし出される道があります。人に対しても、拝む仏さまに対しても、つねに崩れがちなわが身をはじながら、正しい姿勢を捧げていく所に、本当の供養があります。それがそのまま、花を捧げる心に通ずるものです。そして、その花を捧げる心が、人生を美しくする心といわねばなりません。
以上、香炉、燭台、華瓶をもって「三具足」(みつぐそく)といいます。また、重い法要の場合は「五具足」(ごぐそく)のおかざりにします。香炉を中心に両側に向かって鶴亀の燭台一対、そして華瓶一対をおかざりします。 |
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